前回のGig Bagについて又々数多くのお問い合わせを頂きまして、有難うございました!Messina Coversの色出しはホントにキレイです。やはり黒だらけの市場にあるものにはかなりご不満があった様で、その反響に驚いております。何せ「とーちゃん、かーちゃん」二人での製作だけにしばし時間がかかりますが、夏休み返上で作ってくれるそうなので順番にお知らせして行きます。もうしばらくお待ちください。

さて話は変わりますが、最近「熟成肉」ブームとかでガラスケース内に茶色く変色した肉が恭しく飾られているステーキ屋さんが増えましたが、まあ確かに昔から「肉は腐りかけが一番旨い」と言われる様に味の深みや濃厚さは私にも判るくらい「確かに違う」と思います。

金属にも「熟成」に似た現象があるのはご存知でしょうか?画像の3点はFacebookによく出てくるあの雑然とした製作机の下から発見された何枚かのシートで製作されたもので、この事を見抜く人がいるかどうか実は興味津々でした!

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「発見された」というよりも「完全に忘れられていた」というべきだとは思いますが、Taylor社創設以来眠り続けて約30年、ようやく楽器となった訳です!

真鍮は私が最初に感じたのは「ジューシー」な響きです。新品でこんなに水分の多い響き方をするのは過去経験がありません!最初Chicagoの某モデルで作ってもらいましたが、そのあまりの違いに半信半疑だった私も腰を抜かす結果となった次第です。で早速、この濃厚でWetな響きは’Phrumpet’にこそ相応しいと思いオーダーしたのがこの2本デス。結果はここで触れるまでもないでしょう!!

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で、さらに驚愕したのがこのNS素材です。完全にAgingの完了した、ある意味Vintage Likeな響きなんです!軽く吹くだけでBell先から出てくるのは、クリアでファットで立体感のある「仕上がった音」なんです!!
早速ベル径の違いで2本ずつオーダーして、出来上がったっものを順次ご案内したところ、即ATM直行となり、今はStandard DiameterのITGに出品されたものが一本残るだけです。
Conn 8Dの古いのが何故高値の花なのかが私も実感としてよく判った次第です!とにかく「音が活き活きしてる」「各音域のバランスが抜群」なんですよ!しかも最初に買って頂いた方は「吹き込んでくるとなんとも言えない美しいサスティーンが出てきた!」「タンギングの微妙な表現が素直に出せる」とのコメントの様に楽器としてプレーヤー本来の表現力を極限まで活かしてくれる訳なんです。

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という訳で金属にも「熟成」「成熟」という音葉が当てはまるのだという事が実感できました。テレビの番組でドラムの人が「買ったシンバルは一定期間地中に埋める」とか言ってたのを見て、かぼちゃやじゃがいもじゃあるまいし、と思っていましたが、あれはやっぱ本当だったのかもと!?

「熟成肉」ならぬ「熟成金属」は残念ながら「そんなに忘れてる訳ねーだろが!!」という事でTaylorの工房にはもうありません。しかしまだ他の工房や地金屋さんにはあるかもしれませんね??

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おっと最後になりましたが、画像の怪しいラッパについては又現物が届いてからご紹介しますので、今日は予告の画像だけで失礼します!