ITG Conference’17も遂に開催され、Andyはその間「Big Mouth, Thin Pocketな連中相手に実に退屈」な時間を過ごしてる様です。日本人が来るたび顔写真付きでメールしてきて「次のTerminate Targetはこいつだ!」なんてやってるんですから!根っからの職人である彼はこの手の「品評会」的社交の場は大の苦手で、しかも相当にしんどい時間な様です。

来週後半には展示していた中から最も評判のよかったCrackersを数点送ってくれることになってますから、お楽しみに!!

さて今回は、ウチのもう一方の柱であるSpencer Trumpetです。

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この2点の外観は非常にオーソドックスかつConservativeで、ほとんど同じ楽器に見えるでしょう?ところがValve Cluster以外は全く違うパーツで組み上がられています。

反射の多い画像なので確認しづらいでしょうが、上のは某独逸職人謹製の薄めのベルにSterling SilverのLeadpipe & Maintuning Slideを組み合わせ、Venturiが少し絞られたタイプです。これは非常にタイトなしかも遠達性の半端ない、「音の立つ」響きを生み出します!しかも緩めのAirではまさしくFluid Sound、柔らかなベールが空中を漂う様な(キャー!)実にFatでCreamyな響きに変化します!

下のは、某米国職人謹製の極薄銅製のベルにNSのLeadpipe & Maintuning Slideを組み合わせ、Venturiも若干大きめのタイプです。これは見かけと違って「とにかく響きがぶっとい」!しかもその太さは茹で過ぎの麺の様な芯のないものとは全く違って、ゴリンとした核のある骨太な太さなんです。しかも緩めのAirではそれにHuskyさが加わり一層「肉声の様な」響きを生み出します!

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いつもお知らせしています様に、Spencer氏の製作は一台毎にコンセプトを決めると先ず「それに最も合うパーツ集め」から始まります。ですから「あのメーカーとこのメーカーのは使えない」と言ったビジネス上の制約が全くないために、まさしく「適材適所」な素材を世界中のあらゆるメーカーや製作者から引っ張ってきたり特注したり、というのが可能なんです!しかも組み上がった楽器は徹底した現場でのテストにより「納得するまで調整する」!ですからハズレなんかが出る訳がないんです!

確かに今までウチからSpencerを買って頂いた方は、全員その「違い」を瞬時に見抜くに足る「吹奏力」を持った人です。恐縮ですが、4畳半で満足している方にはYやBで充分でしょう!

さてオイルの件ですが、Monster Oilを長期に渡ってチェックして頂いた方には本当に御礼申し上げます。

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管の中全体に定着するには最低でも一ヶ月はかかります。以前に使っていたオイルと微量でも混じると本来のスムースさも持続性も、そして一番のポイントである鳴りっぷりと音色の良さを確認できないんです。ご存知の通り、このMonster Oilの特にRedは米国の某国営機関で使用中のオイルが基材となっています。その拡散速度やそのナノレベルの皮膜の超絶な薄さは、機械用や工作用のオイルのレベルとは次元が違います。ハイオクと重油の比ではありません!まあこれは使った人にしか解りませんね、それも一定期間。失礼いたしました!

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最後は最近マッピまでオーダーが増えてきたTaylor ですが、ご覧の様な外観やスクリューリムのタイプもオーダー可能です。Denseのある密な真鍮やNSを丁寧に旋盤で熟練工の技で削りあげる一本はCADやCAMでは到底作れる訳ありません。なぜなら「工業製品」ではなく「楽器」なのですから。おっとこれも判らない方には大きなお世話でした。お幸せに!