前回のコラムは非常に反響が大きく、「ラッパのあるある」は今後も定期的に続けていこうと考えています。そこで今回はそのパート2を行ってみましょう。

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極一般的なシルエットのラッパを例にとってみますが、先ず入り口のレシーバーとリードパイプ部の直線滑走路の部分から。
レシーバーがマッピとのギャップはもちろん、音への影響も非常に大きいというのはご存知の通りです。大きさ、地金の厚み、重量、その素材、等などの一つ一つが楽器全体のポテンシャルに大きく影響します。中でも最も重要なのは「マッピとどれだけ一体化できるのか」、という点なのです。「レシーバー」という単なる「受け口」という役割でなく、マッピと一体化して、その後に続く「ラッパ本体にどれだけ多くの信号を過不足なく送り込めるのか」がポイントなんです。例えばアメリカとヨーロッパではマッピシャンクのテーパーが違うというのを以前お伝えしましたが、マッピとのマッチングはもっとシビアに考えて頂きたいと思います。ここで失われた信号は楽器がいくら増幅しても完全に脱落したまんまなんですから!

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次はリードパイプです。これがまさに古色蒼然、旧態依然!例えばBachは#25、Callicchioは#7、Schilkeなどは公表すらされていない程に「標準」とされるものが100年前とほぼ同じVeturiとTaperなんです!しかもプレーヤーはその「標準」という暗示(?)を受け、他のバリエーションには強烈なアレルギー症状を呈する始末です。人間、体格はもとより声の大きさも息のスピードも違うのが普通ですよね。パンツですらS,M,Lくらいのサイズ選択ができるのに、何故かラッパは「標準」至上主義。「その不便を克服してこそあの輝く巨人の星となれるんだ!」とばかり根性・努力・忍耐で使いこなそうとする。これは本当にナンセンスな話ですよね。そりゃ100年前の音楽しか演らないのなら話は別ですが、それでも個人個人の違いは歴然と存在する訳ですから!余計な苦労をする時間はもっと「音楽する」ことに充てるべきじゃないですか??
しかもそれを売る側も圧倒的に知識不足でカタログなどの資料の文字による情報しかない状態ですよね。個々のスペックは勿論、例えばBachで言えば「#25を#25−0に替えるとどう吹奏感や音色、響きが変化するのか」の「実感」が全く無いんだと思うんです。「#25に比べオープンです」って言われてもプレーヤー側には???ですよね。「現状の問題のここを解決するにはコレを選ぶべきだ」と言うのが無いんですよ、全く。カタログにラインナップされているものに関しては少なくともそれらの特徴を文字でなく実感として熟知していて欲しいと思うのですよ。楽器の歴史紹介も大事かもしれませんがね!?

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さてこの後、メイン・チューニング管、ヴァルブ部と進んで行くのですが、これ又サラッと書き過ごす訳に行きませんので、パート3以降で触れていきたいと思います。今日のところは先に、流行り(?)の「2ピースのヴァルブ」について少しお話ししておきます。世の中ノスタルジー・ブームで「昔のは完璧」という風潮が席巻している中、「ヴァルブは上部がNSなのがいい」と信じている方に申し上げますが、試しに愛機のその接合部分をジッと観察してみてくださいな。境界線に沿ってサビやラッカー剥がれが起きてませんか?オイルが染み出してませんか?はい、漏れです!余程完全に接合されていないと多くの個体でそんな症状が見受けられます。
それになんで昔は1ピースでなくて2ピースだったのかをご存知ですか?精度や強度の面でもどちらが有利だとお考えですか?外観も大事ですが何故そうなったのか、その辺りも充分ご理解頂きたいと思うのです。

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さて今日は又この変にしておきます。とにかくご自分の愛機、相棒である楽器についてはもっと識ってあげてください!それがその楽器が貴殿とが最高の結果を生むための最善最短の方法だと思いますよ。