今回はTaylorとHarrelsonについて。

先ずTaylorですが、もはや個人の製作する楽器としてはすっかりお馴染みのブランドでしょう。「名機」として定番となっているモデルも数多くあって、今や完全に油の乗り切った「職人技」は仕入れる側としても安心感があります。



手にした瞬間からTaylor氏の気迫が伝わってくるあのMojoは他のブランドでは味わえないもの!イントネーションやスロットの明確化など楽器として本来あるべきポイントは完璧に調整済み。

その上で彼本来のVoicingが施されていく訳ですが、これがまた最高に「肉感的」なんです!プラスティックなニオイのする楽器ばかりの現在、こんなに親人的(?)な楽器は無い!

このTaylor氏、時にShowなどに出品する際、相当悪ノリしてしまってぶっ飛びそうなデザインのを作ったりしてますが、吹いてみるとその全てが実に計算され尽くしてる事に気付くと思います!

「英国」という国の往年のスピリッツを感じることの出来る楽器、製作者の燃え滾る情熱の迸る楽器、今後こういう熱い楽器は極端に少なくなって行くでしょうね。

そして次はHarrelson。彼はCADやCAMをフルに使いこなして、全てのパーツを規格統一し、Module化する事で、プレーヤーにとって自由な組合せを可能にした所が凄いと思います。



しかもデザイン的にも統一感があって、どの組合せでも「ハズレ」が無いという点も画期的!まさに本当の意味での「パターン・メイド」の楽器がオーダー可能となっている訳です。

只、時に考えすぎてアイデアだけが奔走してしまうケースも正直あります。以前のギャップ問題解決の為、シムを中に押し込むスタイルのものとか、やっと完成(しつつある)したあのマッピとかが好例かもしれません。

前者はシムが取れなくなったり音色が極端に変化してしまったりで、あれはダメです!

そこでAGRのレシーバーへと進化した訳ですが、あれはあくまでHarrelson Trumpetの1パーツなんです。他ブランド用もありますが、間違いなく本来の「音色」が変わってしまうのでその点ご承知ください。



  後者は、あそこまで細分化してしまうとプレーヤーをその各部の選択に於いてかえって悩ませてしまったり、また精度の点でも不安があります。

ですのであのマッピはウチとしてまだ改良の余地ありとして、現時点ではあえて取り扱いません。複雑な事象をシンプルな事象にすることこそが「発明・発見」なんですが、あれでは更に複雑になってしまってますので。

全く別のシリーズを現在「大げんか」製作中です!マッピに於いて、ピースが増える程、音と精度が悪くなるのはご存知の通りですよね。

という「先走り」もありますが、ここまでトランペットを分析してしまう能力は過去あり得なかった事だけに、トランペットそのものの可能性を劇的に拡げてしまうブランドになると信じています。

とまあこの二つのブランド、Hot & Coolの好対照ではないですが、強烈な個性の二人が作る楽器、このどちらを選択するかは「あなた次第です!」?