ピストンのスピル(ガイド)を真鍮製にするのが一つのトレンドみたくなってるけど、何でもかんでも金属にしちまえばいいって訳じゃないんだなあコレが。とにかくピストンは一番稼動量の多いところでしょ。その激しい運動をたった2点のスピルの出っ張りで支えてる。そしてピストンの上部の2つのスリットを常時そのスピルが往復してる訳さ。
その際にスピルとスリットの摩擦が常時発生してる状態なんだけど、それが金属同志だとスピル、スリット、もしくはスピルが納まるノッチに相当な負荷がかかる為にお互いが結局磨耗していってるんだよね。あのシキシキいう音からも判るでしょ。あれがどうもイヤな音なんだわ。それにバネのねじれでスピルの片側が引っかかったりしてピストンがスタックするケースが増える。

そこであのデルリン製のスピルが開発されたのに、どういう訳か真鍮の方が音がいいという定説ができちまって、皆さっさと何も考えずに交換してしまうんだよな。でも上記の様なデメリットもあるんだというのを理解してからにして欲しい。あのスリットなんかが磨耗してしまうとピストンの横ズレしやすくなってくる。すると音重視どころか管全体の響きが変わってしまうからね。ことキャップやボタン類とは違って負荷のかかる場所にはそうした弊害があるんだという事を知っとく方がいいよ。

さて、変なのが又どっさり入ってきたぜ。でも意外にもしっかりした鳴り方するんで驚いた。ピューピュー系の楽器に合わせると逆に凄くメローな響きがするのにハイノートもえらく楽に吹ける不思議なマッピだ。