今回はコルネットについて。
吹奏楽団でなくて、いわゆる「ブラスバンド」でのコルネットは今も花形だが、ことジャズに限ってはコルネットを専門にするプレーヤーがもはや絶滅危惧種と化している。
ルイ・アームストロング、キング・オリバー、ヴィックス・バイダーベックなど創世記の巨人達が最初に手にした楽器はコルネットだったというのに!ところがルイを初めとしてほとんどのプレーヤーがトランペットへと持ち替えてしまった。それはその後のトランペッター達の隆盛を見てみると止む無しかなという気もするけど、もう一度コルネットにしか出せないサウンドというものを見直すべきなんじゃないかと最近痛感する訳。



ここで思うのは、本来のコルネットのサウンドを理解してる人って案外少ない様な気がするという事。ご存知の通り主にアメリカではロング・ベルのコルネットが主流だが、あれにシャンクの長いたとえばバックなんかの、しかもUカップの浅いのでバリバリ吹ききってしまうってのは、それはそれでアリだとは思うけどあれこそがコルネットだなんて思われると困る訳よ。
やっぱVカップの深めのショート・シャンクもので、軽快かつ重厚でどことなくCuteなサウンドを流麗に奏でる、あの音こそ本来のコルネット・サウンドだという事に気付いて欲しい!
とかくフリューゲルなんかにもパツラのマッピをセットして吹いてしまう様な輩の多いアメリカのプレーヤー達にとっては、あくまで基準はトランペットであって、フリューゲルだろうがコルネットだろうがとにかくパツラと「同じフィーリング」で吹けるというポイントを重視する余り、それぞれが全く違う楽器なんだという意識は非常に希薄だと思う。それが証拠に彼らのマッピはすべてパツラと同種のデザイン、同種のカップで、パツラの奏法をそのままって事が多い。そのうちフレンチホルンまでパツラの奏法で吹かれそうな勢いだ・・・。



それぞれ全く違ったオリジンを持つ楽器はそれぞれ固有の奏法やセッティングがある訳で、十把一絡にされてしまっては最終的にはプレーヤーの選択肢や幅を自らなくしてしまう事になる。どこかの国のパツラ吹きみたくなってしまっては、もう終わりでしょ!
そういう意味からもジャズというジャンルに拘らず、もっとコルネットならではのVoiceに今こそ注目して欲しいと思う。誰かコルネットのスター・プレーヤーって出てこないかね!?