今回は問い合わせの多いブロンズについて。
真鍮が銅と亜鉛の合金であるのはご存知のとおり。銅の比率によってYellow Brass, Gold Brassなどと呼称が変わる。
で、ブロンズ。シンバルの素材としても有名なこれは銅と錫、そして少量の銀(もしくは他種の金属)による合金のことで、シンバル・メーカーではこの混合比率が「秘伝」として代々受け継がれている訳。シンバルで真鍮製のはスチュ−デント・クラスのものか特殊エフェクト(トラッシュなど)のもの位にしかみられない。理由は簡単、シズルや響きに乏しいからだ。そしてこの「響き」こそが重要なポイントだ!



ライドのピング音はジャズのドラム・プレーヤーの命だけど、そのピング音がコンコンとかベシャベシャなんてものだと全く音楽にならない。シーーーンとどこまでも伸びていくシズルや美しいピング音、このサウンドなくしてはジャズのグルーブそのものすらあり得ない程重要なファクターだ!



で、それならこのブロンズをパツラに使えないだろうか、がそもそもの始まり。そこでHansとLarsの両氏に持ちかけたところ、意欲ビンビンの両氏が各種プロトを作ってくれた次第。そこから色々カット・アンド・トライの連続となるわけだが、まずパツラでよく言われてる「ブロンズ」のほとんどが「Gold Brass」のことで、本当のブロンズを使用してるものは過去に於 いてもほとんど無いってこと。それに加工が非常に難しくリスキーだということ。又真鍮とは違う音響特性からベル・シェイプもアレンジしなけりゃならないこと。そんなこんなでやっと楽器となるまでに2年半ほどかかってしまった。



で、その成果は?これはいつもの様に吹いてもらうしかないでしょ!ただ一つだけ留意してほしいのは、ffでしか吹けない人には向かないってこと。
シンバルでもバシバシ叩いてる状態では、音が完全に割れてしまっていて、ギターアンプのフル10状態と同じく、音の差なんてわかる筈が無い。そんな飽和状態の割れた音しか知らないパツラ吹きが多いなかで、果たしてその真価を活かしきれるプレーヤーがどれだけいるやら。「ドラムはBeatしないでPlayするもの」とはパツラも同じだよね!