銀座の某寿司店、今は超有名になってしまって急に敷居が高くなってしまったけど、そこの大将は魚を食べない、というか魚が大の苦手というのは有名な話。「なんでもそこに入り込んでしまうと肝心なものが見えなくなる」ということか。もし大将が魚が大好きで、マグロのとっておきの部分をいつも自分で食っちまったりなんかするともはや寿司屋じゃなくなってしまう。

この商売始めて自分でキモに命じたのはまさにこの点。大将と違ってハッシーも楽器も超の付くほど大好きな自分としては、強烈なノドテモノを発見すると興奮のあまり自分のものにしたいという衝動にいつも駆られてしまうんだよなあ。でもそれやってちゃ「商い」失格なんだよね。しかしこの自分にとってのノドテモノってお客さんには一発で伝わる訳さ。本当にめちゃくちゃ喜んでもらえるんだわ。だからこのスタンスを絶対に崩さないで頑張ってる訳なんだけど、御蔭で慢性品薄状態・・・。最近ホントに興奮するのが少なくなってねえ・・・。でも「まあまあ」のを買って仕入れても何となく心に靄がかかってモンモンと納得できない状態が続くのよりはずっとマシなんだけどね。

な訳で今回の500CのKit!これがまさにその葛藤の一台なんだよね。ホント稀にめちゃくちゃ信じられない位スムースかつ軽く、しかもカチッとした作動をする個体に出会うことがある。それはリペアしてくれる人にも解るから、「こんなの何年かに一台来るか来ないかだよなあ!」なんて評価をもらってしまうともう心はグラグラ!でもここに記載する事でそんな「邪心」を追い払う訳!!

個人的に大好きなのセンターグリッド格子付きスクリーンを移植して、澄み切った刻入りプラナー、極厚シェルのピカピカ圧板のC-12とくればねえ!言っとくけど、決してコレクター向けのキズ一つないピッカピッカの状態ではないからね。だって60年代製だよ。キモはこの悦楽的操作感さ!まあ解ってくれる人は少ないとは思うけど、触ってみれば一発でしょ!