今回ピッコロの名機が2台揃ったので、今回は両雄の違いについて。
前々から思ってたのだが、アメリカとヨーロッパの楽器製作においては、その各々の音楽性の違いというものが如実に各々反映されている気がする。要するに、それは歌を唄うときにどういう発声法をするのかという違いに集約されるんじゃあないかと思うわけ。それはポピュラー・ミュージック対クラシックという見方もできるかもしれない。或いは又、マイクの存在を想定したものか、そうでないものかといった見方もあるかもしれない。朗々と歌い上げるオペラとジャズ・ボーカルなどその格好の例だと思う。その感覚の違いが楽器の作り手にも吹き手にも無意識の中に厳然と存在しているのではないか、と感じるわけ。
ここに紹介するSchilkeとH.Kromatも、まさしくその好対照だ。華やかでシャープな前者に比べ、厚みのある荘厳な後者とのサウンドの違いはまさしく「お国柄」を象徴するものだろう。そこを理解したうえで、自分の「音(Voicing)」を探さないと訳がわからなくなる。それにしてもピッコロって、デザインが実にバリエーション豊富だよね。結局、発展途上なんだろけど、各製作家ともイントネーションとサウンドの改良に躍起になってる訳で、その点からもトランペットの中では今後、最も面白くなってきそうなジャンルだろうと思う。