ここのところFacebookでもご存知の通りPhat Puppyにご執心のAndy、まあいずれはウチも仕入れる事となるとは思いますが現状のはちょっと・・・。相当なレギュレーションが必要です・・・。

さて最近お客様との会話の中で「神話」が結構行き渡ってるんだなあと思ったのですが、その一番手はVintageものの信者さんに多い「昔の素材は何でもとにかくいい音するんだ」というものですが、遂にSax奏者と同じ「古けりゃ何でもいい」主義がラッパ界にも押し寄せてきたのかなあと懸念する次第です!

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「真鍮は製造後50年経過するあたりから徐々に硬くなってきて非常に裂けやすく割れやすくなる。French Bessonなど100年近く経過したものは当然、New York BachなどもRepairには最新の注意をはらわないといけない」
「素材が硬化すると音量や音質の変化がつけにくく、Rangeが狭くなりしかも音そのものも硬くなる。ところがそれを「鳴りのよさ」と勘違いしているPlayerが非常に多い」

というのがAndyのコメントですが、某有名プレーヤーも「表現の幅が極端に狭くなってやたらとBrassyな響きになる」と全く同じ事を言っています。

あと「当時の真鍮はいろんな不純物がはいってるからいい」というのもありますよね。技術の進化と共に「よりPureな素材」が作られている現在では「いい音がしない」と言う訳です。でもね、こんな事昔からずっと言われてる事で、70年代の初めに憧れのBachを楽器屋さんで初めて手にした時も同じ事を言われましたから。一体どこまで古けりゃいいんでしょうかねえ??大体そんな「不純物まみれ」の素材が当時ホントに製造されてたんでしょうか??という事は我々の世代はそんな不純物まみれのモノに囲まれて育ってきたんでしょうか??

もちろんレアものを所有する優越感、古き良き時代へのノスタルジー、そして往年の名手と全く同じものを吹きたい、などの気持ちもよく解るのですが、残念ながら今は2018年ですからねえ???それに貴殿はMilesでもBrownyでもないのですから・・・!

以前、「Taylorの初期ものの素材が云々」と言う方がいたので本人に問い合わせた事があります。「独立した時に大量に入手した真鍮材はまだ使い切っていない!」と!!あまり追求すると「定番モデルをバンバン買ってくれ」とこちらにお鉢が回ってくるので深く追求しませんでしたが、まあとにかく事実はそういうもので、その方の「夢」を壊してしまったのは恐縮至極でありました・・・。
Taylorのホームページの画像を見るとお判りでしょうが、実際、工房には歴史的名機のテンプレートや数十年前のパイプ、シートなどが無造作に転がっています。これらは昔も今も全く同じなんです。ですので恐縮ですが「夢」は夢としてずっと夢を見続けて頂きたいと思います!?

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" The older ones have a bit more character, but then they should have, older and wiser, isn't that the expression. Bit like an old car. “ 私もこのAndyの言葉に賛同します!素材が古かろうが新しかろうが、不純物の全部入りであろうがなかろうが、確かに若干の特徴の違いはあるでしょうが、そんなミクロの世界よりももっと肝心なのは「楽器」として組み上がった時のトータルとしての「表現力」であって、しかもそれはそれを演奏する「奏者」にも問われる事だと思うんですよ!

50年前に戻って、最高の素材による楽器さえ手に入れば、最高の演奏ができるんだけどなあと思ってる方!もう一度言いますけど、今は2018年ですから!!

そう、どんどんとボアが小さくなり、ますます軽量化された「楽器」が主流な現在なんですから!!一体「音」の問題は何処へ行ってしまったのでしょうかね、ホント!?