今回は趣向を変えてVincent Bachについて。

この4万番台のBach、何となく佇まいからして現在のものと違って重厚で凛とした表情をしていると思いませんか?(実際、管の厚みを見ても、いまのモノとは全く違いますが・・・)



実際シリアルが10万番を超える辺りから徐々にその重厚感がなくなって行き、現在のものは'Bach'という別のブランドになってしまった気がします。

カメラでは有名なライカのそもそもの「'Leitz'」がLeitz Cameraの意味の「'Leica'」に変わってしまった様なもので、神話のとれた日常品になってしまった歴史に似ています。

同じ設計なのに何故違うのか?素材の真鍮が違うだの、パーツが違うだの、種々憶測が飛び交っていますが、結局いつ「工業製品」として捉えられる様になったのか、という事だと思うのです。



ウチが販売しているHasselbladも大量生産、コスト削減だの「工業製品」化してから一気にクオリティが低下してしまった推移と全く同じなんです。

各職人が全行程を一人で組上げて行って、お互いが切磋琢磨していたタテのラインから、細分化されたパートごとのヨコのラインになってしまい、製品の生産量はアップしてもクオリティや個性は比較になりません。

しかもトランペットという「楽器」の場合、パーツが同じでもその組み込み方により全く違うものになってしまうのはご存知の通りです。結局「職人」の力、いかに「音楽」する為の「楽器」としてのノウハウがあるかにかかっている訳です。



それは今回のこのBachも同じで、ベルから出てくる音が、まるでイコライジングやミックスが完了したかの様なサウンドなんです!これはいつもの事ながら実際に吹いてもらわないと判らないと思います。

これを聴いてしまうと、現行モデルのサウンドが余りにも響きが鳴く、しかもバサバサに乾いた、そしてサスティーンの無い音にしか聴こえないんですよ!



とは言えサックス奏者みたく「古ければなんでもいい」という訳にはいかないのはラッパ吹きには判る様に、入念に選別しないと!もはや「味のしなくなったガム」みたいなのも多いですからねえ!?

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