私のお客様でもあり友人でもある東川幸嗣氏のグループStable Notesの新作CDが届いた!彼は主に関西で活躍しているトランペッターで、クラシックからジャズまでその守備範囲は相当に広い。今回の"On The Horizon"では全編 WeberTrumpet & Flugelhornで吹きまくってくれてる訳だけど、まとにかく聴いてみんしゃい、オーバーブローな程にガンガンだから!
思うんだけどさ、最近のパツラ吹きって”クール”の意味のはき違いみたいなのが多くって、やたら「四畳半」してるのが「美」とされたりする風潮があるじゃない。ところが我ら「70年代ドップリ」世代にとっちゃ、この手のプレーヤーには完全に「不完全燃焼」「欲求不満」状態な訳さ。ぶっ壊れて燃え尽きるまでトコトン、なんてのは「時代遅れ」上等!ガンガン、ビシビシの破壊力を持ったHannibalや先日亡くなってしまったFreddieタイプのプレーヤーの持っていた「攻撃性」ってのが、今の「とらんぺったー」連中には文字通り「薄く」なってるし、「カッコ悪い」らしんだな、これが。
でもね、その狂気の「動」があるからこそ、バラードの強烈な叙情性、歌心である「静」が活きる訳!のべつまくなしに「冷えたたこ焼き」みたいな演奏じゃ、ガムシロたっぷしのアイスコーヒーみたいに「音楽糖尿病」になっちまう。そんな彼等の対極にある「超高音雑技団」一派の演奏ともども「音楽」である事を忘れてしまったモノがやたら多くて辟易してしまう。
おっとこのCDでした!このバンド、オシャレなGrusin的な空気感のなかに、突如山から猪が突撃してきた様な、一種異様な「ミスマッチ」感が独特の雰囲気を造り出していて実に「キッチュ」で「オリジナリティー」のあるサウンドが心地よい!
「おーい、ちょっと音数多すぎんか?半分でもええで・・・」
「Weber吹いてる時に演奏すんのがメチャククチャ嬉しいてしゃあない、ちゅうのが出てるやろが!!」
という会話から滲み出る彼のまさに「パツラ吹き」的性格!この純粋で単純な感情の表現が「パツラばか一代」してて滅茶苦茶カッコイイと私は思う!試しにFreddieの"Night Of The Cookers"を聴いてみな。Lee Morgan ともども極限までイッちゃってるこのプレイ、感情をここまでストレートに表現できる「パツラばか」の美しさこそまさしく「パツラ力」だと思うんだけどね!