Statusというベースがある。オール・カーボングラファイト製のヘッドレス・タイプで、木を使った従来の楽器とは完全に対極に位置する存在だ。
ところがこのサウンドたるや木よりも木の音がする!文字通り「ベースの音」という言葉からイメージされるサウンドが従前のどのベースよりも聴き取れる訳。人間の耳が如何に楽器そのものから受けるイメージに支配されているかの証。



これと全く同じ現象がパツラにおいてもマンマあてはまる。New York & Mt. Vernon Bach, Martin 60's, Conn Elkhartなどなど往年の名機をいまだに追い求めている人が多い、というのもその一例。とにかくこの一連のブランド・イメージに支配されてしまってる人が非常に多いという事。
確かにそれらの完成度の高さは誰もが認めるところ。でもねえ、50年も昔のもので本当にいまだその完成度を維持できてる個体はほぼゼロに近い。ところが先のブランド・イメージ先行タイプの人は「やっぱバックの音はこれだよね・・・」「まんまマイルスの音がするんだよ・・・」などと原型をとどめていない個体にご満悦。これらの名機の新品時のサウンドを一体どれだけの人が把握してるのだろうか??

New York Bachなんかに至っては当時20歳代で入手したとしても今や70過ぎだぜ!French Bessonに至ってはもう絶滅状態でしょ。
あと、教科書通りの知識で頭がガンジガラメな人。「銀メッキはこういう音だからダメ」「金メッキはこんな音」などなど昔の某国産メーカーのカタログの知識で完全に洗脳されてる連中。個体差の方がその数倍大きいというのは理解しようともしないでしょうなあ。。
Slaveという単語(他動詞)がある。まさに楽器を「使いこなす」んじゃなくて、楽器に逆に支配されてしまってる人が如何に多いかということだ。

サックスのDavid Liebmanの口癖に"Dark Sound"というのがある。確かに彼のサウンドは強烈にダークだ。ところが当時使ってたのがSugalのメタルにBariのプラスティック・リード!又一方では彼の教則ビデオで、サックスの運指での下降フレーズ(例えばド・シ・ラ・ソ・ファ・・・)を押しつつ、実際の出音は上昇していく(ド・レ・ミ・ファ・・・)!!なんて離れ業をやってたけど、ここで"Slaved"の表現が出てくる訳よ!
とにもかくにも楽器の奴隷状態じゃあ「萌えコレクター」の域から一生脱却できまへんで!