今回は通称「アポロ・モデル」とか「グレーのやつ」とか言われている500EL/M Gray Versionをとりあげてみたい。
 なんといってもこのコスメティックがキモ!グレーってなんてカッコイイのかがクロ革に見飽きたハッシー使いには一発でご理解いただけると思う。実際ウチへの問い合わせで一番多いのがこのグレーの革に張り替えてくれというもの。当然目下製作中だが、ここで最高に困難なのがレンズ・マウント周辺やインディケーターの丸窓の周辺あたり。ご自分のハッシーを見てもらえば分かると思うけどこの部分の革は1ミリ以下!これをシートから切り出すのは大変な職人芸を必要とされる訳で、又これを剥がれない様に貼っていくのも至難の業。そんな訳で今しばらくお待ちを!



 ともかくこのグレーという色がこんなにも美しいとは、先日限定で発売されたどギツイ4色バージョンや記念キンピカ・モデル等と比較すると一目瞭然!それにしてもそれら比較的最近のカラー・バージョンってなんとなく手にした感触が違う。それもそのはずでそれらの表面はツルツルのビニール臭さが炸裂してるからで全くやすっぽい。500C & C/Mの時代のは貼り革のシボに凹凸があり、それが手に馴染む感じがしてしかも高級感があるが、このグレーはまさにコレ!どことなく上品な佇まいがカッコイイ訳で、これにシロ・レンズを合わせると上等なリネン・スーツの様な美しさ(?)で決定的な「美」が生まれる!



 残念ながら発売当時の1982年はもはやクロ鏡胴の時代で、当然セット・アップはクロ・レンズなのだが、なんともこれが暑苦しい組み合わせ!でもNASAのホンモノもこのコーディネートだから仕方ないかも・・・。
というわけでセンスの悪い一連の限定シリーズの中で、これはまさしく突然変異的美しさに満ちたモデルだと思う。



 さて次に機能面での優れた点についてだが、人気の無いEL系を弁護させてもらうなら重量以外の点においては非常に使いやすい機種だという点である。まず今後のデジタル化においてR-G-Bに分けて撮影したり、又はブツ撮りなどにおいてカメラ位置のズレが致命傷となる場合には手での巻き上げは実質不可能となる。そんなときにはEL系しか無い。それに重いとはいえその重さが逆にブレを防いでくれるしバランスが真下に来るので実に安定感がある。又、ダブルハンド・グリップなどのブラッケット類を装着するとホールド感は更に格段にアップする。心配なバッテリーについても充電池の新品はまだ供給されてるし9Vやリチュウム電池のアダプターも入手できるからガンガン使える。その他数々の裏ワザを使える機種なのだけれどそれは又少しずつ紹介していくとして、とにかく現在の冷遇が信じられないほど「いいカメラ」だと思う。これを機会にハッシー・ファンの皆さんも再度挑戦してみていただきたい。きっと「食わず嫌い」であった事が解ってもらえると思うから。

 

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